頻尿
頻尿
このページをご覧になっている方は、「おトイレの回数が増えた」「夜間のトイレの回数が増えた」など、急な尿意や排尿回数に関するお悩みでお困りかと思います。そのようなお悩みを早期解決できるよう主な要因や対処法・泌尿器科受診のタイミングをご案内いたします。
一般的に、1日(24時間)の間に8回以上の排尿がある状態を「頻尿」といいます。
主に水分の取りすぎや、加齢に伴う影響で頻尿を感じる方が多いです。頻尿が起こる原因は、「男性・女性」「若年層・高齢層」「人の生活様式」でも異なりますので、原因をしっかり把握して対処していくことが大切になります。
皆さまも急な尿意に襲われ「トイレが近い!!」と感じたことはございませんか?
この「トイレが近い、急な尿意を感じる状態」を頻尿といいます。また、急な尿意は尿意切迫感といい、頻尿の特徴的な症状です。
頻尿の基準となる排尿回数は、実は日本泌尿器科学会では以下のように頻尿の状態と示されています。
「朝起きてから夜就寝するまでの排尿回数8回以上の場合を頻尿という」
排尿(おしっこ)は、日常生活で一般的に起こる生理現象です。では、この生理現象は「どこまでが正常で、どこからが頻尿となるのでしょうか」。このように思う方も多いのではないでしょうか。
一般的な排尿回数は以下のようになります。
昼間頻尿とは、言葉の通り昼間の排尿回数が8回以上の状態を指します。人のからだと同じように尿を溜める膀胱にも加齢性変化があり、40歳を超えると男女ともに「尿意(トイレが近い)」「尿が出にくい」といった症状がでる傾向が見られはじめ、高齢者では「夜間の尿意(就寝中に尿意で目が覚める)」といった夜間頻尿の症状もでてきます。
前立腺炎、尿路感染症(膀胱炎など)…
炎症性疾患の影響と考えられることが多くみられます。若い男性の場合、男性特有の前立腺肥大症や前立腺がんなどの影響であることは考えにくいです。
(一般的に加齢に伴う症状が多いため。)
前立腺肥大症、過活動膀胱、前立腺炎、前立腺がん…
40歳を超えると、およそ8人に1人は「頻尿」の症状があるといえます。とくに増えてくるのが男性特有の前立腺という臓器に由来する疾患です。前立腺肥大では、大きくなった前立腺が膀胱を圧迫することが刺激となり昼夜間ともにおしっこの回数が増える要因となります。
膀胱炎などの尿路感染症、過活動膀胱…
炎症性の疾患の影響と考えられることが多くみられます。男性よりも女性の方が身体の構造的にも膀胱炎になりやすいです。
また、40歳を超えると過活動膀胱と診断される方の割合も増えていきます。
前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎、膀胱がん、膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱など…
男性においては、中高年以降に見られる疾患と同様の病気に由来することが多いです。また、高齢者では生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)や睡眠時無呼吸症候群などとの関連も考えられます。
そのほか、心因性、多尿(尿量の増加)が原因の場合もあります。
40歳以上では約70%が夜間頻尿を経験するデータも。
夜、寝ているときに急な尿意で目が覚める。また、その回数が2回以上の日が続く場合は「夜間頻尿」の可能性があります。1日(24時間)のおしっこの量の1/3以上が夜間就寝中にみられる場合は夜間多尿といいます。もちろん年齢にもより基準は異なりますので、気になる際はご相談ください。
このようなお悩みございませんか??
夜間頻尿は、高齢者に多くみられます。年齢と伴に症状を訴える方は増加傾向にあり、夜間に尿意で起きる回数も増えていきます。50歳以上で増え始め、70歳以上では半数以上、80歳以上では約8割の方にみられるともいわれます。安心して整った生活を送るためにも早期に泌尿器科専門クリニックの受診をお勧めします。
頻尿の原因は個人差があり、生活環境によりさまざまですが、基本的には以下が考えられます。
膀胱の大きさや尿の排出機能に異常がなくても、尿の量が増えると頻尿となります。尿量が増える(多尿)要因は以下が挙げられます。当てはまるものがある際は注意しましょう。
多尿の要因
以下のような病気がある場合や妊娠・出産などの経験を通して、膀胱の神経が敏感になっており、通常よりも尿を溜めておける容量が小さくなっている状態。
考えられる疾患
加齢に伴い、膀胱は尿を溜める機能が低下します。これは年齢と伴に動脈硬化が進み、膀胱周辺の血管も線維化していく影響で血流が悪くなり、膀胱の筋肉の柔軟性が失われていくため伸縮性が落ち、尿を溜められる容量も少なくなります(※機能の低下)。
以下のような病気があると、おしっこの通り道(尿道)が狭くなると、うまく尿を排出できず、結果「残尿感」を感じ、何回もトイレに行きたくなります。また、膀胱内に残尿があることで、新しくできた尿を溜めておけるスペースがなく、膀胱がすぐに充満してしまう結果、頻尿となります。
糖尿病や脳梗塞・脳血管障害など、膀胱が収縮する神経(おしっこを押し出す力)に影響のある疾患(神経因性膀胱)が要因で起こる場合も考えられます。心当たりがある際は泌尿器科クリニック受診の際に、その旨も伝えると良いです。
考えられる疾患
病気の所見はなくとも、日常で緊張する場面やストレスを感じると尿意を感じるといった状態です。一時的なものですので心配はいりません。多くの場合、スポーツの試合や学校の受験・発表会など、誰もが一度は経験する場面でもみられます。
頻尿の要因でもっとも多くみられるのは「飲み物の過剰摂取」です。個人差もありますが、摂取する水分量に比例し、基本的には尿量も増えトイレの回数は増えていきます。
膀胱や尿路といった排尿に関連するからだの臓器に異常がなくとも、水分をたくさん取ると尿意を感じる回数は増えていきます。
また、以下のような飲料は利尿作用がありますので、過剰摂取には気をつけましょう(※利尿作用:おしっこを出しやすくする効果)。
コーヒー、カフェラテ/カフェオレ、緑茶、紅茶、ほうじ茶、コーラ、ココア など
※麦茶はカフェインが含まれないお茶です!!
ビール/缶酎ハイといったお酒全般。人によって個人差はありますが、飲料に含まれる成分の中でも利尿作用が強く、急に我慢できないほどの尿意を経験された方も多いのではないでしょうか。
また、アルコールを摂取すると尿量も増え、一時的におしっこの色も透明になることが多くみられます。もし、色味の透明さが一時的ではない場合は尿検査の必要がございますので、泌尿器科への受診をお勧めします。
野菜やフルーツ全般です。カリウムはからだに必要なミネラルですが、体内の塩分を体外に尿として排出する効果があります。過剰摂取は控えましょう。
とくに女性に多くみられ、健康のために野菜やフルーツを食事に取り入れる意識が高いですが、過度な摂取は脱水を引き起こすなど、からだに逆効果ですのでバランスは大切にしましょう。
男女の性別や年代によっても「原因となる病気」は異なります。
詳しくは、以下をご覧ください。
細菌が膀胱内に進入し、膀胱の粘膜に感染・炎症を起こす病気です。膀胱炎は頻尿を伴うことが多く、尿意が近くなります。また、痛みを伴うためしっかりと排尿ができないケースや残尿感、尿が白く濁るといった症状もみられます。
炎症が強い状態では、「血尿(おしっこに血が混じる)」がみられる場合があり、男性より圧倒的に女性に多くみられます。
前立腺肥大症は、男性特有の臓器である前立腺が主に加齢が原因で肥大化した状態をいいます。前立腺肥大により、前立腺の上に位置する「膀胱」が圧迫され、刺激となることで「トイレが近い」など、頻尿や尿意切迫感を感じます。また、尿がうまく排泄できず、残尿量が増えることで新たに「尿を貯めるスペース」がなくなり、膀胱がすぐに充満してしまう結果、尿意が近くなります。
高齢で頻尿を訴える男性では、この前立腺肥大症と併せ過活動膀胱を併発している場合が非常に多いです。
過活動膀胱とは、膀胱が敏感になっており、活発に働いている状態をいいます。皆さまの意思とは関係なく膀胱が収縮するため「急な尿意を感じる」「何度もトイレにいく」など、頻尿の症状が現れます。
子宮に筋腫(良性腫瘍)ができると、子宮の前に位置する「膀胱」が腫瘍の大きさ分、圧迫されて膀胱の「尿を溜めておけるスペース」が小さくなります。また、圧迫されることが刺激となり、頻尿となります。子宮筋腫の罹患率は30代~40代女性では4人に1人ともいわれますが初期には自覚症状も少ないので、ご本人は気付きづらいです。
出産や加齢で子宮を支える筋肉が緩むと、子宮の位置が下がります。この時、子宮と一緒に膀胱も下がることで、排尿しづらくなる、頻尿となるといった症状が出現することがあります。
糖尿病を患っていると、血液中に過剰に増えたブドウ糖を正常な濃度へ薄めようと、からだが水を求め「のどが渇く」といった症状がみられるようになります。その結果、水分をとる量が増え、多尿・頻尿の症状がみられるようになります。また、糖尿病は末梢神経に障害を与えるため、膀胱の周りの神経にもダメージを与え、膀胱の機能が低下し頻尿の原因となることがあります(神経因性膀胱)。この場合は市販薬を試すのではなく、泌尿器科専門医への受診を推奨します。
頻尿に関連する以下の症状・経験がある際は、泌尿器科専門クリニックへ受診を推奨します。泌尿器科疾患は重篤な疾患の可能性を排除することが重要ですので、QOL(生活の質)のためにも、まずは適正な検査を受けて、そのリスクを防ぐことが大切です。
このような症状・お悩みがございましたら、ご相談ください。
頻尿では、診断をつける上で以下の内容を問診し、各検査を行います。
主な問診内容
尿検査では、「炎症・感染症」の有無などを確認します。膀胱炎など、感染、炎症所見が認められる場合は、原因疾患の治療に入ります。定性検査は30秒から2分程で検査結果がでる簡便なものです。また、尿沈渣検査は、尿を遠心分離器に10分ほどかけたあとの沈殿物を顕微鏡で調べることで、尿中の赤血球、白血球、細菌の有無などを詳しく調べます。
女性の方へ
月経中や帯下(おりもの)が多いとき、膣が萎縮している場合には、正しい結果が出ないことがあります。気になる点がございましたら、当院スタッフへお声がけください。
若年層では血液検査で腎炎の有無などを確認し診断します。症状が重篤な場合、腎機能障害の有無について調べます。また、糖尿病の有無を調べることもあります。
中高年以上の男性で「排尿障害」がある方はPSA検査(前立腺がんを確認する腫瘍マーカー)を行います。
膀胱内の残尿量の測定、膀胱の容量の確認をします。前立腺の大きさの評価、膀胱結石や膀胱がんの可能性などを診断します。
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|---|
尿検査(尿定性・沈渣検査) | 約90円 | 約170円 | 約260円 |
採血血液検査(一般的な項目) PSA |
約600円 約130円 |
約1,200円 約260円 |
約1,800円 約380円 |
腹部エコー検査 | 約530円 | 約1,060円 | 約1,590円 |
(税込表記です)
頻尿の治療は、基本的に「原因疾患」等に対して行います。
多くみられる膀胱炎の場合、抗生剤(抗生物質)を処方し経過観察します。
多くの場合1日~2日程度で症状の改善(または軽減)がみられます。また、痛みが強い場合には鎮痛剤で痛みをやわらげます。
(※痛みの原因が結石で破砕が必要な場合は提携病院と連携し対応いたします。)
【効果】
頻尿で用いる主な抗コリン薬
一般名(お薬の成分) ※ジェネリック医薬品のお名前にもなります |
商品名(例) |
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オキシブチニン(錠剤・パップ剤) | ポラキス錠 ネオキシテープ |
ソリフェナシン(錠剤) | ベシケア錠 |
イミダフェナシン(錠剤) | ステーブラ錠 ウリトス錠 |
フェソテロジン(錠剤) | トビエース錠 |
プロピベリン(錠剤) | バップフォー錠 |
【効果】
※抗コリン薬で稀にみられる「口の渇き」「便秘」の副作用も少なく有用性が高くなっており、併用して処方することもあります。
頻尿で用いる主なβ3作動薬
一般名(お薬の成分) ※ジェネリック医薬品のお名前にもなります |
商品名(例) |
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ミラベグロン(錠剤) | ベタニス錠 |
ビベグロン(錠剤) | ベオーバ錠 |