血尿(おしっこに血が混じる)||なりた泌尿器科・内科クリニック|千葉県流山市の泌尿器科専門医

血尿

血尿(おしっこに血が混じる)||なりた泌尿器科・内科クリニック|千葉県流山市の泌尿器科専門医

このページをご覧になっている方は、おしっこのとき「血が混じる」「いつもと色が違う(赤っぽい、茶色っぽい)」など、心配されているかと思います。
そのようなお悩みを早期解決できるよう主な要因や対処法・泌尿器科受診のタイミングをご案内いたします。

症状概要

症状概要

日本人の約500万人に血尿が認められる!!
健康診断では約10%の方に血尿が出ると推測される。

血尿とは、字のごとく「おしっこ(尿)に血が混じった状態」をいいます。
血尿と聞くと、少々怖い印象を受けるかもしれませんが、目で見てわかるものがすべてではなく、また色味の程度によって状態の重症度もさまざまです。
一方、肉眼でわかる程の赤み(血尿)が確認できる場合は、多くの場合で尿路に関連する異常が考えられます。
そのため、以下のような経験・症状がある方は、泌尿器科クリニックへの受診をお勧めします。

危険な血尿とは

色味から見てみよう

血尿の色味 原因箇所 症状の概要説明
【正常】薄い黄色 なし この状態は問題ありません。脱水状況だと濃い黄色、尿が薄まると透明になることが一時的にあります。
・薄い赤やピンク色
・鮮やかな赤色
尿道・膀胱・腎に異常がある可能性

血液が尿に混じってからあまり時間経過していない状態であり、比較的おしっこの出口(尿道口)に近い場所が要因と考えられます。

【関連疾患】
尿管結石、膀胱炎(尿路感染症)、尿路にできた腫瘍(がん)など。

・濃い赤色 尿道・膀胱に異常がある可能性 膀胱がんなど、悪性腫瘍が原因の可能性があります。そのほかでは膀胱結石や尿管結石の影響で尿路の内側に傷ができ出血が確認される場合もございます。
・赤茶色
・茶色っぽい色味
・黒みがかった色味
腎臓に異常がある可能性 出血してから時間が経っていると色が黒く変化します。尿に透明感もないほどの状態ですと、血の塊もみられます。この状態では腎臓からの出血・腎臓の異常が考えられます。また、膀胱に古い血液が溜まっている場合も黒味がかってみえることがあります。
・オレンジ色、茶色 肝臓に異常がある可能性
もしくは脱水の状態など
大量の汗をかいた時など、体内が脱水状態ですと尿が濃縮されオレンジ色を呈します。また、肝臓に異常があるとビリルビンという成分が血液に増えて尿に排泄されるようになるためオレンジ色に見えます。また、ビタミンを内服した時もオレンジ色に見えることがあります。

結論:「目でわかる血尿」は、からだの異常のサイン。安心のためにも泌尿器科で検査を推奨します。

尿の色味は、正常な範囲で黄色~褐色までさまざまであり、一概に黄色ではないからといって、病気というわけではありません。食事(食べ物の色素成分)や服用中のお薬の影響によって一時的に変わることもあります。

  • 関連する病気についてお知りになりたい方は【関連する病気・症状】の欄をご参照ください。

皆さまへ

毎年、全国の医療機関で実施される健康診断・人間ドックでは、おおよそ10%の方に血尿(尿潜血:陽性)が見つかるといった報告もございます。
身近に潜んでいるにもかかわらず、初期ではなかなか肉眼で確認できませんので、毎年の健康診断の機会は大切にしましょう。

このような場合は、ご相談ください

  • 健康診断・人間ドックで【尿潜血:陽性】と結果を受けた
  • おしっこ(尿)が赤い
  • おしっこに血の塊がある(赤っぽい・茶色・褐色っぽい など)
  • 【女性の方】:生理と見分けがつかないが、併せて以下にも当てはまる。
    「頻尿」「排尿時の痛み」「残尿感」も感じる など

血尿の種類

目で見てわかる血尿「おしっこの赤み」:肉眼的血尿

目で見て「赤い」と感じる血尿を肉眼的血尿といいます。
一度でも肉眼的血尿が確認できた場合は、何かしらの泌尿器領域での疾患・異常がある場合が多いので、泌尿器科での検査をお勧めいたします。この状態での原因として考えられる疾患は多くありますが、膀胱がんの場合は一時的に血尿が見られ、その後は血尿が肉眼では確認できない場合もございます。つまり、肉眼的血尿の場合、一時的にみられる場合の方が重篤な疾患の可能性が高いことも考えられるのです。
日々の生活を安心して過ごす上でも受診を推奨します。

疑われる病気

  • 膀胱がん(50代以上の血尿ではもっとも多い)
  • 腎がん
  • 前立腺肥大
  • 尿路結石
  • 出血性膀胱炎 など
  • 肉眼的血尿の中でも「症候性(自覚症状がある)」と「無症候性(自覚症状がない)」の2つで関連疾患は異なります。

尿検査でわかる血尿「目では確認できない血の混じり」:顕微鏡的血尿

顕微鏡的血尿とは、肉眼では赤みなど血液の混入を確認できないが、健康診断・人間ドックなどで尿検査(沈渣検査:顕微鏡で赤血球を確認)をした結果、尿潜血(陽性)が認められる状態です。
尿に血が混じっているということは、腎臓や尿路のどこかに出血を伴う原因が潜んでいるということです。顕微鏡的血尿は、比較的原因疾患の軽度の場合にも確認できますので早期治療につながります。健診の尿検査で「+」「2+」といった陽性反応を確認した際は泌尿器科で問題がないか診察を受けることをお勧めします。

疑われる病気

  • 糸球体異常
  • 膀胱がん
  • 腎がん
  • 前立腺がん
  • 尿路結石 など

泌尿器のガンのできる部位

ガン

泌尿器の結石のできる部位

結石

血尿の原因とは

血尿の原因は、血尿の種類(「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」)でも異なりますが、大きくは以下に分かれます。

  • 腎臓で尿がつくられたとき、腎臓に異常があり血が混じる
  • 腎臓で尿がつくられた後、尿路(尿管や膀胱、尿道)を通る間に血が混じる
    (この場合、尿管や膀胱、尿道などに異常があると考えられます。)

血尿の原因は、実際特定ができない場合が40%程あり、その場合は「特発性腎出血」といい、まずは経過観察となります。

一方、血尿は膀胱がんなど悪性腫瘍などのリスクを確認し排除することが重要ですので、血尿を確認した際の検査(スクリーニング)は大切になります。

原因となる疾患がある場合

血尿の原因となる疾患は大きくは「感染症(細菌)」「結石」「がん(悪性腫瘍)」の3つが考えられます。また、血尿の種類によっても変わりますので、詳しくは以下をご覧ください。

1.肉眼的血尿の場合

(症候性肉眼的血尿):痛みなどの自覚症状がある場合
尿路結石

20代~高齢の男女にわたって見られます。30~40代の罹患率がピークです。

突然の痛みを「わき腹の辺り・背中」に感じることが多く、ほとんどの場合で血尿を伴います。結石が尿路を傷つけ出血し血尿となります。尿路の結石ができた場所により、腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石と分類できます。

膀胱炎(出血性膀胱炎)

女性の血尿ではもっとも多いのが膀胱炎によるものです。

細菌性膀胱炎は、細菌が膀胱内に進入し、膀胱の粘膜に感染・炎症を起こす病気です。排尿の終わり頃(おしっこ終わり)に痛みを感じ、炎症が起きた状態で排尿を行うと、急な収縮で膀胱が強く刺激され、膀胱のある「下腹部」や尿道口(おしっこの出口)に痛みを感じます。
血尿が出る場合は、この炎症が強い状態です。男性より女性に多くみられます。

また、細菌だけではなく、ウイルス、薬剤、放射線治療などが原因となり、顕著な出血を伴った膀胱炎のことを出血性膀胱炎といいます。

(無症候性肉眼的血尿):痛みなどの自覚症状がない場合
尿路腫瘍

男性では40歳以上、女性でも60歳以上で血尿がみられる際は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)にできる「がん(悪性腫瘍)」の疑いが高いです。

膀胱がん(悪性腫瘍)

50歳以上の男女の血尿では、もっとも多いのが膀胱がんによるものです。
男性は40歳を超えての血尿の場合は、尿路にできた「がん(悪性腫瘍)」の疑いが高いです。
とくに膀胱がんでは約80%が血尿を主訴(主な症状)とすることが多く注意が必要です。

膀胱がんの場合は、一時的に血尿がみられますが直ぐに消えるので、放置してしまう方も多い傾向にあります。
血尿がみられた際は泌尿器科を受診して問題がないことを確認するのも大切です。

2.顕微鏡的血尿の場合

顕微鏡的血尿では、肉眼的血尿と同様に膀胱がん、出血性膀胱炎(感染症)などを原因とすることも多いですが、その他の代表的なものでは腎機能に関連する疾患や、少数ですが「前立腺炎」といった、前立腺で起こる疾患を要因とすることも加齢に伴いみられます。

腎臓の病気(IgA腎症・糸球体腎炎など)

血液の濾過・尿をつくる腎臓に障害があると血尿がみられる場合があります。代表的なのは、IgAというタンパク質が糸球体(血液を濾過する構造)に溜まり障害が出ると、腎機能が低下し血尿が出ます。

受診のタイミング

受診のタイミング

1.「目で見て赤いとわかる」場合は、直ぐの受診をお勧め

血尿が肉眼で認められた際は、膀胱がん(悪性腫瘍)などの可能性を除外するためにも一度しっかりと泌尿器科クリニックへの受診をお勧めします。
ご本人様の自覚症状や血尿の色味によっても重症度も変わりますので以下を参考にご覧ください。

色でわかる血尿の重症度

状態 説明
軽症 ピンク色:少量の血が混じる程度。
中等症 排尿中、ずっと鮮やかな赤色の尿が出る。
重症 褐色、赤黒い尿が出る(血の塊もみられる場合がある)。

 

2.痛みなど自覚症状の有無

血尿の場合、関連する症状として「排尿時痛」の症状が出ると、「がん(悪性腫瘍)」の可能性よりも良性疾患の可能性が高いです。
しかし、しっかりと原因疾患を治療することは大切です。また、市販薬には抗生物質が含まれていないため、膀胱炎その他の疾患を治療する際には、泌尿器科クリニックの受診をお勧めします。

血尿の検査・診断方法

血尿では、診断をつける上で以下の内容を問診し、各検査を行います。

主な問診内容

問診票

  • 血尿の症状の経過や発症時期
  • 血尿に伴う関連症状(排尿時痛や残尿感、尿意切迫感・頻尿)など
  • その他身体所見
    (からだでわき腹の辺りや背中に痛みを伴う時は結石が要因の可能性もございます。)
  • 現在内服している薬 など

当院で行う検査

1.尿検査(尿定性・尿沈渣)

検尿カップ

尿検査では、尿定性検査・尿沈渣検査を併せて行います。
血尿がみられる際は、大きく以下を確認します。
※膀胱炎など、感染症(膀胱炎など)が原因の場合は、尿検査でわかります。

【先生が行う検査・調べること】
  • 尿潜血(尿中の赤血球数、形を調べる)
  • 炎症の有無を確認します(炎症があると、白血球数が増加します)
  • 原因が感染症か、どうか

患者さまへ

  • 顕微鏡的血尿の場合は、約90%以上では身体の異常はみられず、生理現象によるものが多いですが、重篤な病気の可能性を除外するためにも検査は必要です。
  • 女性の患者さまの場合、月経中や帯下(おりもの)が多いとき、膣が萎縮している場合には、正しい結果が出ないことがあります。

気になる点がございましたら、当院スタッフへお声がけください。

2.採血

採血

発熱があれば、炎症や腎機能障害の有無を確認するために行います。

若年層では血液検査で腎炎の有無などを確認し診断します。症状が重篤な場合、腎機能障害の有無について調べます。また、糖尿病の有無を調べることもあります。
中高年以上の男性で「排尿障害」がある方はPSA検査(前立腺がんを確認する腫瘍マーカー)を行います。

3.尿細胞診

尿の中に悪性の細胞が混入していないかを調べます。特殊な検査用の薬品で染色し、悪性腫瘍等の評価を行います。主に悪性腫瘍(がん)のスクリーニングで行います。
検査結果は1週間ほどでご案内が可能です。

4.エコー検査(腹部超音波検査)

エコー

血尿の原因が結石やがんなど腫瘍によるものかなどを調べます。エコー検査は痛みがなく放射線被曝等の可能性など、患者さま負担の少ない検査です。

検査で先生が調べること

どこを調べているか(部位)

腎臓から膀胱

  • 腎臓
  • 尿管
  • 膀胱
  • 前立腺 など

調べる内容:以下の内容

  • 結石や腫瘍(とくに悪性腫瘍:がん)がないか。
    (体の成分が結晶化して内側の粘膜を傷つけて出血し、血尿となる可能性がある)
  • 膀胱内の残尿量
  • 前立腺の大きさ

泌尿器のガンのできる部位

ガン

泌尿器の結石のできる部位

結石

5.膀胱内視鏡検査

膀胱内視鏡検査

やわらかく細長い、検査用スコープ(内視鏡)を尿道口より挿入し、膀胱の内側の粘膜表面に傷や腫瘍がないか直接観察します。
当院では、さらにテーパー面(先端の勾配)が滑らかなオリンパス社製の最新機種を採用し、検査に伴う患者さま負担の軽減に努めております。
男性の場合はスコープを徐々に抜きながら前立腺の状態の確認も行います。

検査で先生が調べること

どこを調べているか

  • 膀胱
  • 尿道
  • 前立腺
  • 周辺臓器を直接観察

検査でわかる疾患とは

  • 膀胱がん
  • 膀胱結石
  • 膀胱炎
  • 前立腺肥大
  • 尿道結石 など

いつ行う検査なのか(膀胱内視鏡検査の適応)

  • 血尿が確認されたとき(目でわかる肉眼的血尿、検査してわかる顕微鏡的血尿)
  • 膀胱内に病変が確認される、または疑いがあるとき
  • 下腹部の痛みや排尿障害があり、原因の確認が必要なとき

当院の検査費用の目安

  1割負担 2割負担 3割負担
尿検査(尿定性・沈渣検査) 約90円 約170円 約260円
血液検査(採血) 約600円 約1,200円 約1,800円
尿細胞診検査 約190円 約380円 約540円
腹部超音波検査(エコー検査) 約530円 約1,060円 約1,590円
膀胱内視鏡検査(スコープ検査) 約890円 約1,780円 約2,670円

(税込表記です)

  • 加入している健康保険の種類により若干異なります。費用はあくまで目安の金額です。初診料・再診料、診察料や処方料などは別途請求となります。膀胱内視鏡検査も処置の種類により多少の増減があります。

治療について

治療は原因となる疾患等に対して行います。
血尿で多くみられる膀胱炎の場合、抗生剤(抗生物質)を処方し経過観察します。多くの場合1日~2日程度で症状が軽減されます。
痛みが強い場合には、鎮痛剤で痛みをやわらげます。

また、結石が要因の場合は疼痛(痛み)抑え、早く結石を排出することが重要です。
(※痛みの原因が結石で破砕が必要な場合は提携病院と連携し対応いたします。)

当院で処方する主なお薬

感染症が原因の場合

感染症の原因菌の増殖を抑え、殺菌するお薬

  一般名(お薬の成分)
※ジェネリック医薬品のお名前にもなります
商品名(例) 服用期間(目安)
ニューキノロン系抗生剤 レボフロキサシン
シプロフロキサシン
シタフロキサシン
クラビット錠
シプロキサン錠
グレースビット錠
3日
セフェム系抗生剤 セファレキシン
セフカベンピボキシル
ケフレックスカプセル
フロモックス錠
5~7日
ペニシリン系抗生剤 クラブラン酸アモキシシリン オーグメンチン配合錠 7日
ホスホマイシン系 ホスホマイシン ホスミシン錠 2日
ペネム系 ファロペネム ファロム錠 7日
ST合剤 スルファメトキサゾール・トリメトプリム バクタ配合錠 3日
  • 注意:人によっては抗菌薬のタイプがからだに合わず「下痢」症状がみられることがあります。その際は、お薬の変更が必要な場合もございますので、当院医師へご相談ください。

結石が原因の場合

血尿の原因が尿路結石の場合は、結石ができた部位・結石の大きさ・再発状況などにより、お薬の種類や治療計画も異なります。結石の治療の場合は大きくは以下を組み合わせて治療を進めていきます。

①結石自体を除去するお薬
②結石の再発を防止するお薬

お薬の種類によって効果も異なりますが、主だったものを以下にお示しいたします。

結石治療のお薬

【主な効果】
※お薬により異なります。

  • 結石を溶かす作用や炎症を抑える効果
  • 結石が大きくなることを防止し、溶かす効果
  • おしっこと一緒に結石を体の外に出す効果
  • 尿路を広げて結石を出しやすくする効果 など

結石治療で用いるお薬

  一般名(お薬の成分)
※ジェネリック医薬品のお名前にもなります
商品名(例) 服用期間(目安)
排石促進薬
(結石を溶かす作用や排石を促すお薬)
・ウラジロガシエキス(錠剤)
・フロセミド(錠剤)
・猪苓湯(細粒:漢方薬)
・ウロカルン錠
・ラシックス錠
・猪苓湯エキス細粒
3日~1ヶ月程度
(結石の大きさや状況に応じて調整します)
鎮痙薬
(尿路を広げて痛みをとる、結石を出しやすくするお薬)
・フロプロピオン(錠剤)
・臭化チメピジウム(カプセル剤)
・芍薬甘草湯(細粒:漢方薬)
・ブスコパン錠
・セスデンカプセル
・芍薬甘草湯エキス細粒
3日~5日
(結石の大きさや状況に応じて調整します)
結石の予防・再発防止のためのお薬

【主な効果】
※お薬により異なります。

一般名(お薬の成分)
※ジェネリック医薬品のお名前にもなります
商品名(例) 服用期間(目安)
・クエン酸製剤(錠剤)
・アロプリノール(錠剤)
・チオプロリン(錠剤)
・ウラリット錠
・ザイロリック錠
・フェブリク錠
・チオラ錠
1ヶ月~

よく見られるページは
こちら