身体のむくみ
身体のむくみ
むくみとは、皮膚の下に余分な水分が溜まった状態のことをいいます。
人間の体のおよそ60%は水分で構成されます。
水分は、その40%は細胞内(細胞内液)、20%は細胞外(細胞外液)にあります。このうち、細胞外液がむくみに関わってきます。
通常、細胞外液は、血液(血漿やリンパ液)が5%、細胞と細胞の間にある水分(組織間液)が15%の割合で成り立っています。これらの水分は毛細血管を通じて行き来して、細胞に栄養を届けたり、老廃物を除去したりしていますが、通常は体内の水分の割合は維持されています。しかし、そのバランスが崩れて組織と細胞の間に余分な水分が溜まると、むくみが発生するのです。
むくみは、毛細血管から細胞の間に流れ出る水分が多くなったり、毛細血管やリンパ管へ吸収される水分が減ることによって起こります。
では、どんな時にそれが起こるのかというと、多くは血液の循環が悪くなったときです。
とくに脚は心臓より下にあるので重力の影響で血液が心臓に戻りにくく、ふくらはぎの筋ポンプ作用と静脈の逆流防止弁の働きによって血液を心臓に戻しています。しかし、立ったり、座ったりしたまま体をあまり動かさないでいると、ふくらはぎの筋ポンプが働かず足の血液の循環が悪くなります。また、スタイルをよく見せるためにガードルなど窮屈な下着を身につけると血液循環が悪くなり、むくみにつながる場合があります。食べ物では、塩分の摂り過ぎがむくみに直結します。体には塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるので、塩分を摂り過ぎるとそれを薄めるために水分を溜め込みやすくなるのです。
むくみが、病気のサインとして体にあらわれる場合もあります。まず、むくみがひどい時に疑われるのが「腎臓」や「心臓」「肝臓」の病気。押すと指の跡がつくのが特徴で、全身がむくみます。
腎臓は体のデトックス機能を担っており、血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出します。腎機能が低下すると、体外に老廃物を含んだ水分を排出できなくなるため、むくみが起こります。
心臓が血液をうまくめぐらせることができなくなる病気で、体の血流が滞りむくみになります。
肝臓全体が硬くなるため、肝臓でアルブミン等のタンパク質が合成できなくなります。アルブミンは、水分を血管内に保持する働きがあるため、血液中のアルブミンが低下すると、水分が血管から間質に漏れ出し、全身のむくみが起こります。
その他のむくみの原因には、以下のようなものがあります。
栄養素の摂取量が不足してタンパク質が不足すると、血液中にアルブミンが不足し、全身のむくみの原因になります。
女性に多い病気で、ふくらはぎの部分の血管が膨らみ、足がむくみます。ひどい場合には表面にボコボコと静脈が浮き出てきます。病名の通り、下半身の静脈の血管がコブのように膨らみます。
手術でリンパ節を取り除いたりしたことで、リンパの流れが滞り、その部分に水分が流れずにむくみます。
視診と触診により、腕や足の太さに左右差があるかどうか、皮膚の色や硬さに変化がないかといったことの確認で、多くの場合は診断が可能です。リンパ液がたまって皮膚が厚くなると、皮膚を引き寄せたときにしわができにくくなったり、皮膚をつまみにくくなったりという変化もみられます。
※当院では、症状によっては近隣医療機関と連携し対応に努めます。
リンパ浮腫が原因のむくみの場合、一度発症すると完治しにくいという特徴があります。一方で症状が軽ければ適切な自己管理のもとで日常生活を送ることも可能です。ただし重症化すると生活に影響する可能性があるため、早い時期から治療して進行を阻止することが重要です。
ここでは代表的な治療法をご案内します。
むくみの程度に応じた治療法を選択します。また、圧迫した状態で散歩や軽い運動を行い、筋肉の収縮と弛緩を利用してリンパの流れを改善する運動療法も並行して行っていくことも大切です。近年は保存療法と手術用顕微鏡を駆使した低侵襲リンパ外科治療を融合させた、より高い効果が期待できる治療法も登場しています。
※当院では、症状によっては近隣医療機関と連携し対応に努めます。