尿路結石|激しい痛み|男女平均10人に1人|なりた泌尿器科・内科クリニック|千葉県流山市の泌尿器科専門医

尿路結石

尿路結石|激しい痛み|男女平均10人に1人|なりた泌尿器科・内科クリニック|千葉県流山市の泌尿器科専門医

尿路結石とは

腎臓から膀胱

腎臓で尿がつくられ、排出されるまでの経路を「尿路」といいます。
尿路結石とは、「尿路」である、腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道などに結石ができることです。

体内のどこかで不要になった物質が結晶のようになり、これらが集合して石のようになって尿路の中に存在する状態です。
結石が存在する位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。

結石が尿管にひっかかったり、塞いだりすると、激しいわき腹の痛みを生じます。また尿が下流に流れることができず、上流では尿が溜まって淀んでしまうため、細菌が繁殖し尿路感染症を併発したり、腎臓の機能障害などを生じます。

患者さまへ

長期間放置すると腎臓に負担がかかり、腎臓の機能が低下することもあります。
再発を繰り返す人も多いため、その場合は結石の成分を調べ、再発を予防することも大切です。
尿路結石の発症には食生活が大きく関係しています。
とくに日本人の場合はシュウ酸カルシウム結石症と呼ばれるものが圧倒的に多く、シュウ酸の摂りすぎが結石の主な原因であるといわれています。

なりやすい人

年間罹患率は10万人あたり134人、1,000人に1人。この40年間で3倍以上に増加
男性の7人に1人、女性の15人に1人が罹患

「シュウ酸」が関係

シュウ酸は紅茶や緑茶、タケノコ、生のほうれん草、さつまいも、チョコレートなどに多く含まれます。
シュウ酸には、カルシウムと結合しやすい性質があり、シュウ酸は腸のなかでカルシウムと結びつくと、便と一緒に身体の外に排泄されます。

しかし、シュウ酸の量が多くなると、余った分が今度は尿の中に出てきます。尿の中でシュウ酸がカルシウムと結合すると、結石を形成し排泄されにくくなり、腎臓に障害を及ぼしたり、尿管を詰まらせたりすることになります。
また、肉類、魚類、卵、乳製品などの動物性脂肪を多く含むものを多く摂取すると腸内にシュウ酸が増えやすくなり、結石のリスクを高めることになります。

30代~50代がなりやすい

30代~50代

主に働き盛りな30代~50代に発症することが多く、尿路結石ができるのは男性の方が多く、男女比はおよそ2:1とされています。

シュウ酸以外には高尿酸結晶や尿路感染が原因となることも

その他、結石の種類には、高尿酸血症の方がなりやすい尿酸カルシウム結石、尿路感染症を繰り返す方がなりやすいリン酸マグネシウムアンモニウム結石などの種類があります。
メタボリック症候群や高尿酸血症などの生活習慣病に当てはまる方は、尿管結石が発症しやすいので注意が必要です。
また、排尿障害のある方、長期臥床の方も尿が鬱滞しやすく、尿管結石になりやすいといわれています。

その他、シスチン尿症によるシスチン結石など遺伝性要素が関与する場合もあります。

よくみられる症状

結石の「大きさ」と「症状」の重さは一致しないことが多いとされています。
腎内にある結石の多くは無症状で経過するため、数cmの大きさまで成長することがあります。腎盂いっぱいに結石が詰まってしまった状態をサンゴの形に似ていることから「サンゴ状結石」といいます。

腎臓でつくられた結石が尿管に落ちてきて詰まってしまうと、わき腹や下腹部に突然激しい痛みが起こります。夜間や早朝に起こることが多く、痛みは2~3時間続きます。
その間は数分おきに痛みが強くなるというように、痛みの強弱に波があるのが特徴です。
結石により尿管での尿の流れが悪くなることで、腎臓で作られた尿の流れがせき止められ、尿管や腎臓の出口(腎盂)に尿が鬱滞してしまい、腎盂や尿管が拡張した状態になってしまうことがあります。これを水腎症と言います。水腎症をきたすと、腎機能が低下してしまうことがあります。
また、結石による粘膜への刺激に伴って血尿や頻尿の症状があらわれるケースもあります。
尿路感染症を合併すると、高熱を伴い重篤な敗血症に至ることもあるため注意が必要です。

尿路結石の痛みについて

尿路結石の症状は、石ができる位置や大きさによって異なります。

どんな痛み方か

尿路結石で、激しい疼痛が起こるメカニズムは、結石が尿路を塞ぐことで尿管痙縮(緊張して無意識に震える)が起こったり、腎盂の内圧が上昇したりして腎臓の被膜が引き伸ばされたりすることによって起こります。
尿路結石の主症状である痛みは、人が感じる痛みの中でももっとも強い痛みのひとつといわれており、「出産を超える痛み」「七転八倒する痛み」「king of pain」と例えられることもあります。ただし、結石が排石された途端に、嘘のように痛みが消失するのも特徴です。
また、結石があっても、まったく痛みを感じない方もいます。

痛みを感じる結石の大きさとは

痛みは、石の大きさとはあまり関係がないといわれています。
むしろ、小さい石のほうが、痛みが起こりやすいとすら言われています。
これは、大きい石はあまり動けず、その場でゆっくりと大きくなるため、突然尿の流れを塞ぐことがないのに対し、小さい石は突然、腎盂から剥はがれ落ちてきて尿管の細い部分に詰まるためです。
1cmまでの結石は尿と一緒に出てくることが多いため自然に排石されます。水分を十分にとるようにして排石を待ちます。このうちの3分の2のケースでは1ヶ月以内に自然に排石されるといわれています。
1cmを超える結石や、小さくても発症から1ヶ月を超える場合は腎臓機能に影響が出てくるため破砕を目的とした治療が必要となります。

痛みを感じる場所とは

泌尿器の結石のできる部位

結石

腎結石

結石が腎臓内にあるうちは症状がないことがほとんどですが、中には背部の重苦しい感じを訴える方がいます。
腎臓にあった結石が、尿管に落ちてくると尿管結石と呼ばれ、突然、わき腹や下腹部、腰の後ろ側などが激しく刺し込むような鈍い痛みを生じます。

尿管結石

結石がある側のわき腹、背中、お腹に激しい痛みが生じたり、血尿や吐き気が起きたりすることもあります。一般的に、石が小さいほど痛みが強くなるとされています。

膀胱結石

症状がないこともありますが、下腹部に違和感があります。また、頻尿、残尿感、血尿がみられることもあります。

尿道結石

排尿時に強い痛みが生じたり、血尿や尿が出にくいなどという症状があります。

尿路結石の原因とは

尿路結石の原因は、昔はカルシウムが原因で結石を作ると考えられていました。
しかし今では、カルシウムよりもシュウ酸のほうが結石を作りやすい原因になることがわかってきました。
シュウ酸は体内で生成されるものもありますが、体外から摂取するものもあります。
シュウ酸を多く含む食品の代表として、ほうれん草、コーヒー、紅茶、コーラ、緑茶、さつまいも、タケノコなどがあります。
尿路結石は、何か一つの原因で起こるわけではありません。
尿路の通過障害、感染、寝たきりや骨折、内分泌・代謝異常などさまざまな要因も関係します。
半数以上は原因不明の特発性結石症といわれ、ごくわずかですが遺伝性のものもあります。
また、骨のカルシウムが血中に移行し血液のカルシウム濃度が異常に上昇して結石ができやすくなる「原発性副甲状腺機能亢進症」も原因の一つと考えられています。

受診のタイミング

聴診器

なんらかのきっかけで尿路結石が見つかったにもかかわらず、放置されているケースがありますが、結石を指摘されたら必ず受診をしてください。
時間が経ち結石が大きくなったり、尿管に張り付いたりしてしまうと治療の難度や、リスクが跳ね上がってしまいます。
すぐに治療が必要でない場合でも、経過観察が必要です。

また、痛みを感じなくなって結石が排石されたものと勘違いしてしまうことがあります。長期陥頓結石となれば腎機能障害をきたすなど問題が出てくる場合がありますので、必ず検査で、結石の消失を確認してください。
また、発熱を伴う場合は感染の併発が疑われます。これを「結石性腎盂腎炎」、「閉塞性腎盂腎炎」と言いますが、敗血症に移行しやすく、数時間単位で重症化し命に関わる危険がありますので、迅速な治療(カテーテル治療など)が必要です。速やかに医療機関を受診してください。

過去に一度、尿路結石になった方は、再発する可能性が5割以上とされています。
定期的通院をしながら、再発の有無についてフォローすることが望ましいでしょう。きちんと通院されずに、数年後に大きな結石を再発させて受診されるケースもあります。
再発は結石が小さいうちに見つけ治療するほうが安全です。
衝撃波による破砕術や内視鏡手術などの治療は、結石が大きくなるほど難易度が上がります。尿管という細くデリケートな臓器に対して治療を行うため、手術によるリスクがゼロとは言えません。難易度が高いほど、治療に伴うリスクも高まります。
また、術後の重症感染症という特有の合併症もあるため、早期治療や定期通院は大切です。

尿路結石の検査・診断方法

当院で行う検査

問診票

問診でお話をおうかがいし、触診、検査で結石の位置や大きさ、腎臓の状態などを調べて診断します。

1.触診

患部の辺りを触診したり、軽く叩いてみて痛みを起こす部分や位置を確認します。

2.尿検査(尿定性・尿沈渣)

検尿カップ

尿中に血液が混ざっていないかを調べます。顕微鏡で尿中の赤血球の有無を確認するため、肉眼で確認できない血尿も発見できます。
また、尿路感染症に関連する細菌の有無も確認します。

3.採血(血液検査)

採血

血液を採取して炎症の程度や、腎臓機能に異常がないか確認します。また、血液中の尿酸値やカルシウム濃度、副甲状腺ホルモンの値などを調べることがあります。

4.レントゲン検査(腹部X線検査)

レントゲン

ほとんどの結石はX線で確認できるシュウ酸カルシウム結石です。
そのため、X線検査による腎尿管膀胱単純撮影を行います。
この検査によって、腎臓から膀胱までの結石の有無や位置を確かめます。

ただし、結石の種類や大きさ、部位によっては確認できない場合もあります。

5.エコー検査(腹部超音波検査)

エコー検査(腹部超音波検査)

腎臓や尿管の状態を確認する検査です。
結石自体は、位置によって確認できないこともありますが、身体への負担も少なく、腎結石や尿酸結石の診断に有用な検査として実施します。水腎症の有無も調べることができます。

6.CT検査(※必要に応じて、連携病院にて実施します)

骨盤内の結石や尿管狭窄がある場合、X線検査や超音波検査でははっきり確認できないことがあります。そのような場合はCT検査で調べます。結石の場所、大きさ、尿の通過障害の程度などについても一緒に確認できます。当院では必要に応じて近隣施設へ紹介し対応いたします。

当院の検査費用の目安

  1割負担 2割負担 3割負担
尿検査(尿定性・沈渣検査)※判断料含む 約90円 約170円 約260円
血液検査(採血)※判断料・手技料含む 約600円 約1,200円 約1,800円
レントゲン検査 約210円 約420円 約630円
腹部エコー検査 約530円 約1,060円 約1,590円

(税込表記です)

  • 加入している健康保険の種類により若干異なります。費用はあくまで目安の金額です。初診料・再診料、診察料や処方料などは別途請求となります。

治療(クリニックでできること、病院でできること)

クリニックでできること

1cm以下の小さい結石の場合には、基本的には薬物療法と経過観察で自然に排石されるのを待ちます。

5mm以下の結石

薬物療法と、水分をたっぷりとって適度に運動することなど、経過観察し、自然に結石が排石されるのを待ちます。
主に使われる薬剤は、痛みを緩和する鎮痛薬、尿管の痙攣を鎮める鎮痙薬、平滑筋を弛緩させ排石を促すα1受容体遮断薬などがあります。

5mm~1cmの結石

位置、症状、尿管や腎臓の状態などによって、薬物療法による経過観察と体外衝撃波や内視鏡手術などの積極的な破砕治療の中から適した治療法を選択します。
大体の場合は、まず1ヶ月程度は自然排石を期待して薬物療法・経過観察とし、自然に排石しない場合には積極的な破砕治療に踏み切ります。その場合は、近隣の医療機関にご紹介いたします。

病院でできること(当院より連携病院をご紹介いたします)

大きい場合、尿の流れが阻害され、腎機能に悪影響を与える可能性があるため結石を砕く砕石治療の適応となります。
破砕治療には、体外衝撃波治療(ESWL)、内視鏡手術(TUL、PNL)、開腹手術などがあります。
結石の大きさによって治療の内容は決まりますが、位置や患者さまの状態によって適切な治療内容は変わります。
当院では、手術が必要な場合は速やかに近隣の医療機関にご紹介いたします。

1cm以上の結石

破砕治療が必要となります。
細かく砕いて自然排石を待つ治療と、取り除く治療に分けられます。

経尿道的尿管砕石術(TUL:transurethral ureterolothotripsy)

腰椎麻酔もしくは全身麻酔下での手術です。尿道から細い内視鏡スコープを挿入していき、尿管内の結石を治療用レーザーによって砕いて小さくし、除去します。
腎臓から膀胱までの尿の流れを確保する必要があれば、尿管ステント(腎臓から膀胱までの細いカテーテル)を留置します。ステントを抜去するまでの約2週間~1ヶ月程度は、排尿痛や血尿を伴います。

経皮的腎砕石術(PNL:percutaneous nephrolithotripsy)

全身麻酔下の手術です。背中の皮膚から腎臓に向かう穴を開けて内視鏡スコープを挿入し、腎臓の結石を砕いて除去します。
大きな腎結石がある場合に用いられる治療方法です。結石の大きさによっては複数回の手術が必要になることがあります。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL:extracorporeal shockwave lithotripsy)

体の外から衝撃波を当てて結石を細かく砕き自然排石を待ちます。
麻酔を使わずに治療可能ですが、結石の種類、大きさ、場所などによってこの治療が適さない場合もあります。

開腹手術

結石が巨大で上記の治療が困難な場合などは開腹手術が行われることもあります。

尿路結石の予防・食べ物(食べてはいけないものとは)

結石の予防や症状の改善は、食生活と運動が基本です。
そのため、食事にも工夫することが大切です。

カルシウム(Ca)の摂取が大切です

食生活の基本として、シュウ酸などを増やす、生のほうれん草、コーヒー、紅茶、コーラ、緑茶、さつまいも、タケノコなどを控えましょう。また、肉類などの動物性脂肪もシュウ酸を増やす原因となりますので、摂取しすぎないようにしましょう。野菜類を多くした和食中心のメニューを取り入れ、カルシウムを多くとるようにします。
カルシウムを摂取することにより、腸管内でシュウ酸とカルシウムが結合し、便中に排泄されるようになり、尿中のシュウ酸量を減らすことができます。
カルシウムは牛乳などの乳製品や小魚に多く含まれていますが、大豆などの豆類や緑黄色野菜にも豊富に含まれています。
牛乳が苦手という方は、煮豆、豆腐、納豆、ピーマン、ニンジン、カボチャなどを積極的にとるようにしてください。

注意すべき野菜は「ほうれん草」

野菜の中で注意が必要なものは、ほうれん草です。
シュウ酸が多く含まれているため、食べすぎないことが大切です。
ゆでてお浸しにするとシュウ酸が水に溶け出し、摂取量を抑えられるのでおすすめです。
ほうれん草以外に、タケノコにもシュウ酸が多く含まれています。
いずれもアクの成分で、ゆでると溶け出します。
健康な人の場合は、通常の食生活では問題ありませんが、すでに結石がある人はあまり多くとらないようにしてください。

補足

ビタミンCは、体内で代謝されてシュウ酸をつくります。
抗酸化作用のある大切な栄養素なので適度の摂取は必要ですが、結石ができやすい人はサプリメントや飲み物などで大量にとらないようにしてください。

また、水分不足になると尿の濃度が高まり、結石をつくりやすくなります。
小さな結石なら尿と一緒に排石されることも多いので、水分を多めにとることも予防につながります。紅茶やコーヒーにはシュウ酸が多く含まれていますので、大量に摂取しないよう注意が必要です。

関連する病気はあるか

尿路結石は、結石になりやすいとされている病気として次のものが挙げられます。

  • 骨粗鬆症
  • 脂質異常症
  • クッシング症候群
  • 高カルシウム血症
  • シスチン代謝異常
  • 原発性副甲状腺機能亢進症
  • 潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患 など

このように、腎機能障害、内分泌疾患が原因で発症することもあります。

よく間違われる病気とは

尿路結石は、右もしくは左の限局した背中の痛みがあらわれます。
結石の場所によっては、鼠径部である足の付け根、下腹部の痛みが出ることがあります。
健診などの超音波検査で結石が見つかるなど、無症状のこともあります。
ときどき、頻尿、残尿感などの膀胱炎に似た症状で来院される方もいます。

膀胱炎

膀胱炎とは、尿道から入り込んだ細菌が膀胱で繁殖し、膀胱の内壁を覆う粘膜に炎症を起こす病気です。
ほとんどの場合が大腸菌などの腸内細菌による感染が原因ですが、一部の抗アレルギー薬や抗がん剤などの薬剤の影響によって発症したり、放射線治療の副作用などで発症したりと、膀胱炎の原因はさまざまです。
疲れが溜まって免疫力が落ちると、膀胱の中の細菌も増えやすくなるため、膀胱炎になりやすくなります。
また、女性は男性よりも尿道の出口から膀胱までの距離が短いため、細菌が膀胱にたどり着きやすく、膀胱炎を起こしやすい傾向があります。
膀胱炎により頻尿、残尿感、白濁尿や血尿、排尿時の痛み、下腹部の痛みといった症状があらわれます。放置すると高熱をともなう腎盂腎炎といった合併症を引き起こすこともあるため注意が必要です。

国内患者数

年間の罹患率は、人口10万人あたり130人ほどです。
尿路結石症に罹患する頻度は、非常に高く、男女で平均すると10人に1人程度と言われています。そのため、男性7人に1人、女性では15人に1人が生涯に経験するといわれています。
また、男性と女性を比較すると、男性の方が、2~2.5倍罹患しやすいことが分かっています。
尿路結石は、珍しい病気ではなく、多くの人がかかる可能性のある病気です。
また、年々罹患率は高くなっています。
この原因の一つとして、脂肪分や糖分を多く含む欧米型のハイカロリーな食事を摂取するようになったことが挙げられています。