おしっこの色の異常からわかること|なりた泌尿器科・内科クリニック|千葉県流山市の泌尿器科専門医

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おしっこの色の異常からわかること|なりた泌尿器科・内科クリニック|千葉県流山市の泌尿器科専門医

おしっこの色の異常からわかること

〜黄色、橙色、茶色、赤色、クリーム色、黄緑色、紫色、そして透明まで〜

みなさんは普段、排尿時に、おしっこの色を確認していますか?
何気なく流してしまい見ていないことが多いかもしれません。

ただし!おしっこには、体の不調のサインが隠れていることもあるのじっくり観察して欲しいのです!
今日は、何色が危険なサインで受診すべきなのかそれぞれの色についてお話してみたいと思います。
まずは詳しいことまでは理解できなくても、おやっ?と気づいて、相談することが大事ですよ!

正常⭕️  うすい黄色

異常❌ (要精査) 茶色・赤色・ピンク色・常に透明(色がついていない)・クリーム色・黄緑色

尿の色からみるヒトの健康状態

<黄色>

うすい黄色 正常
濃い黄色     脱水

通常、健康な方の尿はうすい黄色で浮遊物などはみられません。
「淡黄色」「麦わら色」などとも表現されます。

  • この黄色は、血液の成分である赤血球のへモグロビン(赤色)が壊れてできたときにできるビリルビンがさらに腸管内の細菌が分解した結果生じるウロビリノーゲンというものに由来しています。
    このウロビリノーゲンが腸管から再吸収されて尿中に排泄されさらに酸化されウロビリン(黄色)となった結果、尿は黄色くなるのです。
  • 通常、この排泄されるウロビリンの量はほとんど変動しませんが、一緒に排泄される水分の量によって、黄色味が薄まったり、濃くなったりと変化が見られます。
    要は、体内の水分量が多ければ、排泄される水分も多くなるので、黄色味は薄まります。
    逆に、体内の水分量が少なければ、排泄される水分量も少なくなるので、濃縮して黄色味が濃くなります
    なので、夏に、おしっこの色が濃くなるのは脱水のサインです。汗として水分が出ていってしまう分、体内の水分が少なくなり、その結果、尿が濃縮して濃い黄色になります。
  • 同様に、疲れたときにおしっこの色が濃いのも、脱水のサインなのですね(大量の運動をした場合などは、他の原因で色が濃くなることもあります)

私も、子育てを始めて、こどものおむつ交換の際に「あ〜、今日はおしっこの色が濃いし、量も少ないから水分足りていないのかな〜、脱水なのかな〜」「あ、今日はうすい黄色のおしっこがいい感じに出ているなー。」と、じっくりと観察しています。

<透明>

大量の飲水による一時的なもの
✖️糖尿病、尿崩症など

  • ただ、逆に黄色がものすごくうすい、または色が全く付かない透明の場合は注意が必要です。
    これは、尿が薄まりすぎていることを示します。
  • 大量の水分を一度に摂取した場合に一時的にうすく、透明になることは問題ありませんが、常に透明な尿が大量にでる場合は、糖尿病や尿崩症といった病気の可能性がありますので、一度尿検査を受けることをお勧めします。

<オレンジ色〜茶色>

濃い黄色〜橙色 ビタミン剤内服後
茶色      肝臓の異常 尿路の出血 横紋筋融解症 など

  • オロナミンCや、アリナミン錠などのビタミンなどが含まれている飲料、サプリメントなどを飲んだ際に尿の色がものすごく濃くなった経験がありませんか?
    これは、リボフラビン(ビタミンB2)の色によるもので、特に心配はいりません。
    ただ、ビタミン剤内服していないにも関わらず、オレンジ色や茶色がかってきた場合は、肝臓の異常や腎臓を含む尿路の異常の場合がありますので、速やかに医療機関を受診してください。

<赤色、ピンク色>

腎臓を含む尿路の異常(悪性腫瘍、細菌感染、腎炎、結石など)

  • 尿が赤い場合は、尿の中にヘモグロビン(赤色)が混じっていることを示します。ヘモグロビンは血液の成分である赤血球の主要です。要は「血が混じっている」状態です。
    尿は腎臓で血液を濾過することで産生されますが、通常はこの濾過する網目の構造(糸球体)は綿密にできおており、赤血球自体が漏れ出して尿に混じることはありません。
    ただし、この濾過構造が何かしらの原因(多くは腎炎など)で破壊され、網目にボロが出てしまうと、赤血球が漏れ出してしまい、尿が赤く見えるようになります。
  • また、尿路(腎臓〜尿管〜膀胱〜尿道、男性では前立腺含む)のどこかで出血をきたすような異常な病変が存在する場合もそこから出血をきたして尿が赤くなります。
  • 例えば、結石や細菌感染などによる炎症、がん(悪性腫瘍)などの疾患が考えられます。
    よって、尿が赤いのは、重大な病気の初期症状かもしれません。必ず、速やかに泌尿器科を受診してください。

<黄緑色がかったクリーム色>

尿路の細菌感染症(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎)

  • 尿が黄緑色がかったクリーム色の場合、これは膿(うみ)が混じっているサインです。
    この場合、尿路のどこかに重症な細菌感染をきたしているものと思われますので、速やかに受診してください

<紫色>

  • これは、尿道カテーテルを挿入している方に時々見られるもので、紫蓄尿バッグ症候群といいます。
    尿中のインジカンという物質が、尿中のある種の細菌によって分解されることでインジゴ(青色)とインジルピン(赤色)となりこれが混じった色=紫色に見える現象です。これだけでは、治療の対象にはなりません。
  • このように、尿の色の変化には、必ず原因があります。早期受診、早期治療が望ましい場合がほとんどです。
    これは赤い方なのか、正常なのか、ご自身では判断に迷うこともあるでしょう。気になったら、まずは受診してください。 

尿検査を行うだけで、不安を取り除けることもありますよ!
さぁ、みなさんも、今日から尿の色を気にして観察してみてくださいね。

 

なりた泌尿器科・内科クリニック
院長 成田 玲奈

 

なりた泌尿器科・内科クリニック 院長 成田 玲奈

院長 成田 玲奈

  • 記事監修
  • 院長 成田 玲奈
  • 泌尿器科の疾患は排尿障害、悪性疾患、性機能障害など幅広い分野に及んでおり、命に関わる疾患はもちろん、皆様の生活の質(QOL)に深く関わるものも多いのが現状です。
    当院では、皆様が来院・診察を躊躇することなく、少しでも受診しやすい環境を作りたいと思います。